車中泊の人気が高まるなか、「高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)で寝てもいいの?」と気になる人が増えています。週末の小旅行で気軽に立ち寄れる選択肢です。ただし実際には、「仮眠」と「宿泊」には明確な違いがあります。本記事では公式ルールや最新データをもとに、初心者が安心して利用できる実践ポイントを解説します。
利用者が増える背景
時間を有効活用できる利便性
首都圏からの小旅行では「金曜夜に出発して、土曜の朝から観光を楽しみたい」というニーズが増えています。ホテルを探す手間がなく、チェックイン時間に縛られないSA/PAは、時間を最大限活用できる移動スタイルとして注目されています。さらに深夜のうちに高速道路を移動すれば、渋滞回避にもつながるため、効率の良さが支持されています。
宿泊費高騰とマイクロツーリズムの広がり
近年はホテル料金の高騰や繁忙期の予約難が課題となっています。その一方で「3連休+有休で近場を回る」といったマイクロツーリズムが広がり、手軽に泊まれる方法として車中泊が再評価されています。特に都内在住の30歳前後にとって「低コストで柔軟な旅」を実現できる点は大きな魅力です。
車中泊ブームと市場の拡大
キャンピングカーの新規登録台数は年々増加傾向にあり、レンタカーやカーシェアを利用して“お試し的”に車中泊を楽しむ層も増えています。こうしたライト層の参入が「車中泊=一部の趣味」から「誰でも挑戦できる身近な選択肢」へと広がりを見せています。
安全意識の高まり
一方で、安全面からの注目も大きな背景です。警察庁やNEXCOは「2時間に1回の休憩」を推奨しており、居眠り運転は交通事故の主要因のひとつとされています。こうした中でSA/PAは「眠気を感じたらすぐに休める場所」として、利便性だけでなく安全インフラとしての価値も再認識されています。
道路会社が示す最新ルール
仮眠は推奨、宿泊はNG
NEXCO各社の公式見解では、休憩や仮眠は安全運転のために欠かせない行為として推奨されています。ただし「宿泊目的の利用」は禁止されています。ここでいう宿泊とは、一晩を過ごす前提で駐車場を長時間占有したり、火器を使った調理や車外での野営を行ったりすることを指します。
宿泊がNGとされている主な理由は大きく3つあります。
駐車スペース不足
長時間占有されると、本来休憩が必要な他のドライバーが利用できなくなる。特に大型車スペースは物流の妨げになるリスクが高い。
安全・防犯上のリスク
車内で一晩過ごすことを前提にすると、防犯上のトラブルや事故につながる恐れがある。
施設の本来目的から逸脱
SA/PAは休憩施設であり、宿泊地として設計されていないため、騒音やアイドリング、ゴミ処理など想定外の負担がかかる。
つまり「眠気を取るための短時間仮眠」は歓迎されますが、「ホテル代わりに一晩泊まる」という使い方は、施設の性質や他利用者への影響を考えると本来の想定外なのです。
全国施設数と駐車場事情
国交省の統計によれば、2024年6月末時点で全国の休憩施設は887か所(SA238/PA649)。数は多く見えますが、休日や連休の夜間は「満車で停めにくい」と感じる状況が頻発しています。特に大型トラック用スペースは常に逼迫しており、乗用車が誤って利用すると物流に直接的な影響を及ぼす可能性があります。
混雑対策と拡充計画
こうした課題に対応するため、NEXCO各社は駐車マスの拡充を継続しています。2024年度には26か所で約480台分、2025年度には23か所で約510台分の増設を予定しています。ただし、設備の拡充だけで問題が解決するわけではありません。利用者一人ひとりが「区画を守る」「必要以上に長時間占有しない」という基本マナーを守ることが不可欠です。
初心者が守るべき実践ポイント
仮眠の取り方
眠気を感じたら無理せず休憩を取りましょう。推奨されているのは「2時間に1回の休憩」と「15〜20分の短時間仮眠」です。駐車する際は人通りのある場所を選び、遮光は簡易カーテン程度にとどめると安心感につながります。
快適に過ごす工夫
- 車内の段差をなくすマットを敷く
- 夏は小型ファン、冬は断熱シートで温度調整
- ゴミは必ず持ち帰り、駐車場を長時間占有しない
ちょっとした工夫で「思ったより寝やすい」と感じられるはずです。
本格的な宿泊は公式施設を利用
もし「しっかり休みたい」と思うなら、SAに併設されたホテルが便利です。代表例はEXPASA足柄の「レストイン時之栖」や多賀SAの「レストイン多賀」。シャワーや大浴場を備えており、1泊5,000〜7,000円前後で利用できます。
レストイン多賀:https://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/153605/153605.html
トラブルを避けるためのマナーと注意点
周囲への配慮
夜間のアイドリングや騒音、車外での調理は他の利用者の迷惑になります。場合によってはスタッフから注意されることもあります。
安全確保の基本チェック
- ドアロックを忘れずにかける
- 貴重品は外から見える位置に置かない
- 体調が悪いときは無理せずホテルを利用
よくある誤解
- 「仮眠なら何時間でも大丈夫」→休憩目的を超える長時間利用はNG
- 「人の少ない場所が安全」→防犯面では逆にリスク
- 「アイドリングで冷暖房すれば快適」→環境や周囲に迷惑
初心者が安心して利用するために大切なこと
SA/PAはあくまでも「休憩の場」であり、宿泊を前提とした利用は想定されていません。仮眠は安全運転のために推奨されていますが、長時間の占有や車外での調理などは避けるべきです。本格的に宿泊したいときは、公式ホテルやRVパークを組み合わせるのが安心です。ルールとマナーを守れば、初心者でも気軽に車中泊を取り入れられ、快適で安全な週末ドライブを楽しむことができます。
参考・出典
- NEXCO東日本「SA・PAでの休憩利用について」 https://www.driveplaza.com/assets/pdf/sapa/precaution_use.pdf
- NEXCO中日本 FAQ https://www.w-nexco.co.jp/faq/10/pdfs/01-01_a.pdf
- 国土交通省「道路統計年報2024」 https://www.mlit.go.jp/road/toukei_chousa/road_db/pdf/2024/6-4-4.pdf
- NEXCO中日本「駐車マス拡充について」 https://www.e-nexco.co.jp/pressroom/head_office/2025/0425/00014924.html
- NEXCO中日本「サービスエリア宿泊施設」 https://www.driveplaza.com/sapa/shisetsu_service/hotel/